マレーシア大学留学情報

マレーシアの大学制度

マレーシアの大学制度

マレーシアの大学制度は、日本と比べて非常に複雑です。日本のように4年制大学と短期大学という単純なものではなく、入口も出口もたくさんあります。しかし、この複雑さが個人個人の事情、状況に合わせた進路設計を可能にしています。

例えば、私の友人は高校時代に将来芸術家になると決めており、芸大へ進学し、今は陶芸家として頑張っています。彼と同じように将来の目標が決まっている人は、それに向かって進めばいいでしょう。

ところが、将来何になりたいか、何がしたいか全然決まっていない人もいるでしょう。私は正にそうでした。結果として海外を相手にした仕事をしていますが、高校時代将来何がしたいか具体的な目標がありませんでした。正直言って大学に入る前に、いくら学校のパンフレットを見てもイメージがわきませんでした。

マレーシアでは私のような将来を描き切れていない人には、大学に入学してから専攻をじっくり選ぶ事ができるコースもあります。

日本の大学との違い

1.大学入学基準

日本の大学とマレーシアの大学の入学基準は大きく異なります。日本の大学は、皆さんご存知の通り推薦入学、AO入試を除いては大学入学共通テスト(旧センター試験)や学校別の入学試験という毎年正月明けぐらいから始まる試験のできに大きなウェートがあります。

マレーシアの大学は、日本のような入学希望者が一斉に受ける入学試験はありません。マレーシアの大学は、高校での成績と英語力を証明する資格(TOEFL:トーフル、IELTS:アイエルツ)で判断します。

アメリカ、カナダの大学の場合は、TOEFL(トーフル)、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの大学の場合は、IELTS(アイエルツ)を主に用いますが、マレーシアの大学はTOEFL、IELTSどちらでもOKです。

マレーシアの高校は、高校での成績が学校の入学判定に用いられるため、成績の標準化がされています。しかし、日本の場合は、大学が独自に試験を実施する事により、入学判定をするため、高校の成績の標準化がされていません。5段階評価の学校があれば、10段階評価の学校もあります。相対評価の学校もあれば、絶対評価の学校もあります。更に、各学校にそれぞれの点数の学生がいますが、学校ごとで比べた場合、例えば5段階評価の4と言っても大きな学力差があります。

日本の大学のトップレベルの大学に進学する場合、学校の成績がよくても入学試験の基準をクリアーできる学力が求められるため、ある程度のレベルの進学校と呼ばれるような高校からでないとなかなか難しいのが現状です。

しかし、マレーシアの大学進学の場合は、成績の標準化がないため高校のレベルに関わらず、学校での成績及び英語力により有名校に進学できる可能性があります。

2.入学時期の多様さ

日本の大学は基本的に4月入学ですが、マレーシアの大学は、年間2~5回の入学チャンスがあります。海外留学する場合、3月に卒業してからの空白時間が問題になりますが、マレーシアの場合は、空白時間を限りなく少なくして海外大学進学が可能になります。

3.学校選びの基準

日本の場合は、理系で成績が良ければ医学部、文系で成績が良ければ法学部のような偏差値に基づいて、進路を決める人が少なくありません。マレーシアの場合、高等教育省による『SETARA(スタラ)』という1~6までの大学の格付けがありますが、日本の偏差値の様に全ての大学がその格付けの中に入っているわけではありません。高い教育水準がある大学のみが格付けの対象になっています。また、同ランクの中でどこの学校が上かという細かな順位付けもされていません。

求められる学力は、その大学、専攻で教育を受けるのに必要とされるレベルを求めているため、大学のランクが高ければ高いというわけではありません。

日本人のみならず、東アジアの中国、韓国も大学のランキングを意識し過ぎた進路選択をしますが、マレーシアの大学の場合、どのような教育を提供できるかに重きを置いている点をご理解ください。

マレーシアの大学進学を考える場合は、何を勉強したいのか、もしくは将来の進路が学校選びの重要なポイントになってきます。

4.編入・転学の気楽さ

日本の大学の場合、基本的に入学した大学を卒業します。短大、高専等からの編入を受け入れている学校もありますが、募集人数は基本的に若干名と狭き門となっています。

マレーシアの大学の場合、編入も広く受け入れていますし、自校からはアメリカ大学編入プログラム(ADTP:アメリカンディグリートランスファープログラム)やツイニングプログラムとして欧米の大学に転学するプログラムを導入しており、学生の出入りがしやすい仕組みづくりになっています。

大学の種類

マレーシアの大学は、大きく分けて、国立・私立・海外大学分校の3種類あります。

国立大学はブミプトラ政策(マレー人の経済的・社会的地位向上のための優遇政策)により、マレー系マレーシア人の学生比率が圧倒的に高いです。授業も英語よりマレー語主体で行わること、そして入学基準である試験がマレー語で行われるため、日本では対象者がほとんどおらず、マレーシア留学ネットでは現在ご紹介しておりません。

私立大学は、施設の充実度や授業水準によってレベルの高い方から『ユニバーシティー(University)』、『ユニバーシティーカレッジ(University College)』、『カレッジ(College)』と分類されています。学校によっては、これらを併せ持った大学もあります。私立大学の授業は主として英語で行われ、海外からの留学生が多いのが特徴です。

海外大学の分校は、イギリス、オーストラリアの名門校のマレーシアにある分校です。教育の水準、取得学位等は本校との違いはありません。本校との大きな違いは、学費がマレーシアの物価水準に合わせてあるため、本校より格段に安く学位を取得できることです。

学位について

ディプロマ(Diploma)

日本語で準学士と呼ばれ、日本の短期大学の卒業資格に相当します。

学士(Bachelor)

日本の4年制大学の卒業資格に相当します。文学士(BA:Bachelor of Arts)、理学士(BSc:Bachelor of Science)。

その他にHons(Honours Degree)というのがあります。これは優等学位と言われるもので、イギリス、オーストラリア、カナダ等の大学で用いられ、一般的な学士より専門性の高さなどからワンランク上位とみなされる学位です。オーストラリアやカナダの大学の場合、Hons取得には学士取得済みを条件として1年コースを余分に取らなければなりませんが、マレーシアでは、通常の3年間の修業で取得できるのが一般的です。

進学ルート

大学進学英語コース(Intensive English)

大学進学英語コースは、成績では入学基準を満たしているのに、もう1つの入学基準である英語力が不足している学生が大学の授業を受けられるレベルの英語力を身につけるために通います。

授業内容は学校により異なります。ある学校では下の方のレベルでは、英会話になりますが、上のレベルになるに従い大学進学時に必要となる大量の資料の読解等に耐えられる読解力、英語でのノートのとり方、プレゼンテーションスキル、文書作成力(レポートの書き方)の強化が中心になります。また、ある学校では大学進学向けの英語の資格試験IELTS(アイエルツ)の勉強を行っています。

コース終了後の進路は、マレーシアの大学のみならずアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどの大学へ進学することも可能です。マレーシアの多くの大学が欧米諸国の大学の情報、資料をたくさん持っていますので、自分に適した学校探しがしやすいと思います。
大学進学英語コース

大学進学準備コース(Foundation / Pre-University)

大学進学準備コースは、Foundation(ファウンデーション)と呼ばれたり、Pre-University(プリユニバーシティー)と呼ばれたりします。

運営母体はマレーシアの大学のみならず、イギリス、オーストラリア、カナダ等の機関が運営しているAレベル(Cambridge GCE A Level)、SAM(South Australian Matriculation)、CIMP(Canadian International Matriculation Programme)などのコースを設けている大学もあります。

このコースは主にイギリス式の教育システムを取り入れている、マレーシア、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド等の高3課程になります。日本の高校卒業者は日本で高3を履修済みですので、大学進学準備コースに通うことなくディプロマ(日本の短大課程に相当)、学士課程に直接進学できます。

しかし、イギリスの大学

ノッティンガム大学

サンウェイ大学のランカスター大学とのダブルディグリープログラム(2学位同時取得プログラム)

ヘルプ大学にあるロンドン大学インターナショナルプログラム(ツイニングプログラム)

は、日本の高校卒業資格が低く見られているのか、正しく理解されていないのか分かりませんが、高校の成績に関わらず、大学進学準備コースに1年通わなければ、学士課程に進むことができません。

コース終了後の進路は、マレーシアの大学のみならずアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどの大学へ進学することも可能です。
大学進学準備コース

ディプロマ(Diploma)

修学期間は約2~2.5年間で、日本の短期大学課程に相当します。ディプロマ課程修了後は就職することも可能ですし、学士課程編入、マレーシアの他大学編入、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド等の海外大学への編入も可能です。再進学を考える場合、日本の短期大学よりも道が開かれているのが特徴です。
ディプロマ

学士課程(Degree)

日本の大学は4年制ですが、マレーシアの大学の学士課程はすぐに専門科目を履修するため、履修期間は通常3年間です。日本の大学は入学した大学の学士を取得しますが、マレーシアの大学は海外大学との提携が盛んで、色々な選択肢があります。
学士課程

ツイニングプログラム(Twinning Programme)

主にイギリス、オーストラリアの大学と提携したプログラムで、卒業時にはマレーシアの大学ではなく提携先のイギリスまたはオーストラリア等の大学の学士が取得できます。
ツイニングプログラムは主に『2+1型』『1+2型』『3+0型』の3種類があります。

『2+1型』は2年間マレーシアの大学で勉強し、最後の1年間を提携先のイギリスまたはオーストラリア等の大学で勉強します。

『1+2型』は初年度のみマレーシアの大学で勉強し、残りの2年間は提携先の大学で勉強します。

『3+0型』は提携先の大学に行くことなく、マレーシアの大学で3年間勉強すると提携先のイギリスまたはオーストラリア等の大学の学位が取得できます。

プログラムによっては『3+0型』でも希望すれば『1+2型』『2+1型』に、『2+1型』でも『1+2型』にアレンジすることができるものもあります。

ダブルディグリープログラムプログラム(Dobble Degree Programme)

マレーシアの大学と海外の提携した大学の2つの大学の学士が同時に取得できるプログラムです。提携先の大学はイギリス、オーストラリアの大学がほとんどです。ほとんどのダブルディグリープログラムは、マレーシアのみで学ぶことになりますが、まれにマレーシアの大学および提携先の大学両方で勉強しなければならないプログラムもあります。

ツイニングプログラムとの違いは、ツイニングプログラムは提携先の大学の学位のみ取得でき、マレーシアの大学の学位は手に入りませんが、ダブルディグリープログラムは、マレーシアの大学、提携先の大学両方共の学位が取得できます。

アメリカ大学編入プログラム:アメリカンディグリートランスファープログラム(ADTP:American Degree Transpfer Programme)

イギリス式を採用しているほかのプログラムと異なり、日本の大学のように最初の2年間は一般教養科目を中心に勉強します。日本の大学と異なるのは、一般教養科目を中心に勉強している間に、進学先および学部をじっくり考えることできることです。大学に進学したものの、将来何になりたくて、どんなことが勉強したいのか決まっていない人にとっては、実際に大学という所に行ってみてからじっくり選ぶことができるプログラムです。

アメリカ大学編入プログラム(ADTP:アメリカンディグリートランスファープログラム)は、元々アメリカの大学を対象にしていましたが、最近はアメリカのみならず、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなどにも対象が広がってきています。

インターキャンパスプログラム(Inter Campus Programme)

海外大学の分校である、

モナッシュ大学

ノッティンガム大学

にあるプログラムです。

海外大学の分校は、マレーシアの大学特有のツイニングプログラムやアメリカ大学編入プログラム(ADTP:アメリカンディグリートランスファープログラム)など多くの選択肢がありません。その代わりに、本校や他国の分校で勉強できるインターキャンパスプログラムというのがあります。

インターキャンパスプログラムの最大の特徴は、どのキャンパスに留学しても学費はマレーシアの分校に収めるため、モナッシュ大学の場合、オーストラリアのモナッシュ大学に直接留学するより学費をかなり抑えてオーストラリア留学ができます。

交換留学プログラム(Exchange Study Programme)

マレーシアの大学に在学期間中、提携先のマレーシア以外の国の大学で勉強できるプログラムです。提携先の学校の学位等は取得できませんが、交換留学生は選ばれた学生が、学校の代表として提携先の学校で勉強するので、就職活動時のアピールポイントになります。

交換留学の場合も学費はマレーシアの大学に支払うので、学費が高い欧米等の先進国の大学に留学する場合、学費をかなり抑えて留学することができます。

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